テクノロジー法務の国際潮流

第0回 連載趣旨

はじめに

来月から約一年間の予定で、国際商事法務HP上で、毎月、「テクノロジー法務の国際潮流」というテーマで寄稿をさせて頂くことになった。筆者は、情報法に強みを持つ企業法務弁護士で、リーガルテックの業界団体の代表理事であり、学習院大学特別客員教授、慶應義塾大学特任准教授等として、ムーンショット研究開発事業を含む研究プロジェクトにおいで新たなテクノロジーと法の研究を行っている。そのような研究には、EU AI Act(AI法案)の研究等、テクノロジーと法の国際潮流に関するものも含まれている。

本連載の特徴

本連載では、読者の皆様が聞いたことがない、ないしは、あまりよく知らないものを含む、様々なテクノロジーと法についてその最先端の状況をコンパクトにお伝えしたいと考えている。また、その際にはできるだけ比較法的な観点等の国際的要素を深めていきたいと考えている。
もちろん、まだ研究段階で実務には至っていないという部分が残る分野も多いものの、既に一部の分野では実務が行われており、筆者も関与させて頂いている。そこで、そのような分野については、法実務上のポイントもご説明させて頂く。

本連載が取り扱う内容、取り扱わない内容

本連載においては、概ね以下のテーマを取り扱う予定である(順不動)。

  • ブレインテック
  • アバター
  • HRテック
  • クラウド
  • ガバメントアクセス
  • 広告法
  • AI規制
  • 行政AI
  • リーガルテック
  • 中国情報法
  • ChatGPT・生成AI
  • テクノロジー時代のキャリア

上記のような趣旨であることから、本連載では、いわゆる「情報法」という場合によく挙げられるテーマを全て網羅することを趣旨としていない。このような情報法については、成原慧他『情報法』(法律文化社、2025年出版予定、筆者共著予定)を参照されたい。その結果として、以下のいわゆる「情報法」としてよく挙げられるトピックは取り上げていないことにご留意頂きたい。

  • プライバシー
  • 個人情報
  • インターネット上の名誉毀損
  • インターネット上のその他の違法・有害情報

*1『最新判例にみるインターネット上のプライバシー・個人情報保護の理論と実務』参照
*2 同上
*3『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』参照
*4 インターネット・ホットラインセンター(https://www.internethotline.jp)参照


筆者プロフィール 松尾剛行

<筆者プロフィール>
松尾剛行(まつお・たかゆき)
桃尾・松尾・難波法律事務所パートナー弁護士(第一東京弁護士会)・ニューヨーク州弁護士、法学博士、学習院大学特別客員教授、慶應義塾大学特任准教授、AI・契約レビューテクノロジー協会代表理事。